今回のミーレ食器洗い機のマイナーチェンジについて語ろうか。
ミーレ食器洗い機が今年7月7日ひっそりとマイナーチェンジされた。発売日以降の月末なって新カタログが届くというお粗末さ
だった。25周年モデルはミーレとしては安さで飛びぬけていたので、ある意味センセーショナルだったが今回のマイナーは価格
据え置きという地味なものだった。だがこの地味なマイナーにこそミーレの深慮遠謀が隠されているような気がする。その辺を
ゆるゆる語っていこうと思う。
ミーレにはブランド的ファンがいることは間違いないが、食洗機に関しては強力な洗浄力に大きな庫内がユーザーを圧倒し、
こまかな弱点を忘れさせるほどだった。名機を前にそんな細かいところに触れてはいけないというような風潮もあった。
大きな美点が多少時間がかかることや、ヨーロッパ製は余熱乾燥の為、乾燥が少々甘いというのはやむを得ないと認識されてきた。
だが本音で言えばせっかちな日本人にとって早ければ早いに越したことは無い。日本は湿気が多い。乾燥するならそれに越した
ことは無いという声なきユーザーもいた筈である。今回のマイナーチェンジはそんな隠れた声を持つミーレファンのハートを
さりげなく直撃した感がある。
簡単にマイナーチェンジの内容に触れてみよう。
新しいシリーズはEcoFlexシリーズという。経済的、柔軟性を表す造語であろう。中でも目玉は従来の「Sensoer wash」が
「Automatic」に表示だけが変わり、新しく「Quick pawer wash」というコースが追加された。
こいつは完璧と思われたミーレの「Sensor wash」という洗浄コースを純正洗剤使用という条件付きながら平均所要時間
約58分でこなすというスピードコースだ。(従来のセンサーウオッシュで1時間半強位)結構な時短になるが省エネになって
早く仕上がるに越したことは無いのだ。
少々お高い純正洗剤を使って素早く仕上げるか、市販の洗剤でマイペースで仕上げるかはユーザーの判断にゆだねられる
ことになった。
お次はオートオープン乾燥だ。どうしてもこれが欲しくて高いグレードを買うユーザーもいたが、一番安いベーシックタイプ
からこれが標準となった(60cmWのみ)わけだから迷いは減った。乾燥工程が終わった段階で自動的に少しドアが開いて
外の冷気を取り込み内部をクールダウンさせるという仕掛けだ。これによってワイングラスなどは水滴が消え驚くほどキレイに
なるし乾燥も1ランク上になる。乾燥は良いに越したことは無いのだ。これが最もお安いモデルから標準になった。
ところで、昔から(約20年ほど前)ミーレの食洗機,洗濯機、乾燥機の全機種に「アップデイトシステム」といった機能が
装備されていた。ハード(機械)は20年の使用に耐えうるよう作られ、時代とともに進歩する技術は専用パソコンからデ-タを
送り込みバージョンアップさせるという技だ。新しい洗剤等が開発されたときなどそれに対応したコースを送り込む。新しい洗い
方のノウハウが確立されたらデータを送り込む。本気で1台の機器を20年間使わせる魂胆だ。これは日本では絶対にマネが
できない。技術的にではなく、思想的にである。そんなことをしたら新しい機器が売れなくなってしまう。まるで本当の
エコロジーとは購入した機器を長く使うことだよと主張するかのようだ。これは販売する側からいえば反逆的行為だろう。
今回のマイナーチェンジにメーカーは殆んどコストを割いていないのではないか?それが証拠の価格据え置きだ。
なぜなら今回の「パワークイックウオッシュ」はアップデイトシステムの工場版のようなものだ。「オートオープン乾燥」も
特許とはいえ従来の技術に過ぎない。今までの生産ラインにちょっと手を加えただけだが、知る人にとってはG6620
(G6100の後継モデル)はウソのようなお得モデルだ。同価格でこれだけのものが出来れば消費者にとってメリットが大きい。
ほんのわずかな投資で全く新しいものを作り上げられるという事はミーレの商品開発能力が成熟してきた証のような気がする。
最後に内部バスケットだ。清潔なホワイトに可動部にはイエローをあしらうというセンスは従来通りだが、イエローの配置が
使い易くなった。特にワイングラスをかけるところは柔らかくなったし、3Dカトラリーも便利になり、この辺は正常進化と
云ったところだろうか。
随分と長くなってしまった。読む方も疲れるからこれくらいにしておこう。
次回は純正洗剤や次回のランドリー製品の予想について書いてみよう。ではまた。
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